断腸亭料理日記2007

断腸亭料理日記、

2007年を振り返って。

さて、いよいよ、大晦日。

今年も終わりである。

最後の最後なので、今日は、断腸亭料理日記の今年を振り返ってみたい。

今年の断腸亭料理日記を読み返してみると、
さほど、意識したわけではないのだが、
続き物、というのか、数回に渡って、書いているものが
多くなったように思う。
中でも、町歩きシリーズとでもいおうか、

銀座から

田端から

筆者の住む、元浅草界隈のこと

墨田区文花〜キラキラ橘商店街〜向島

などなど、主として、筆者の歩く東京の町。

あるいは、

上野、とんかつ史?考察

などというのも、あった。

白状をすると、週5回、金土休みでこの日記を書いているわけだが、
やはり、ネタ、話題は、なかなか苦労をしている。

あまりにも、どうでもよいことは書けない。
基本的には、同じような内容を書いているのだが、それでも
多少は毎日新味を出さねば、とも考えてはいるのである。

そこへいくと、町のことを事細かに書くのは、
ページが埋まって、よい、のではある。

しかし、こうした内容を書くことには、筆者なりに
意味を見出してもいる。

いや、本当は、是非とも自分を含めて、今東京に住んでいる、
あるいは仕事をしている者は、皆、その土地の歴史ぐらい
知っているべきである、と、思っているのである。

基本的な、考え方としては、むろん、これは東京に限ったことではない。
東京以外のどこの土地でも、これは同じことである。

そして、東京は、筆者の故郷であるし、今も、住み暮らし、
仕事をしている、大切な街、だから。

さらに、現代、東京ほど、そこに住み、仕事をしている人々に
その歴史が忘れられ、過去が語れることのない、街も少ない
のではないかと思っている。

だから、筆者は、こうした、なんでもない東京の街を
歩き、そして、調べ、書く、と、いうことを
ある種の自分の仕事であると考えているのである。

少し前にも書いたが、

『日本人は、もう少し、足元を見るべきである、と、いうこと。
自分達がどこから来て、どこへ行くのか。
老若男女問わず、日本人全体として、自分達は、なにものであるのか、
を見つめ、そこから、歩を進めることが、ますます必要になっている』、と
いうこと。

これなのである。

地方から出てきた方も、普段、それぞれが住み暮らし、歩き、
遊び、働いている東京を、もっとちゃんと知ってほしい。

単なる行政区画上の日本の首都であるだけでなく、
東京には、400年を超える街として、普通の人々の
生活の営みがあって、今があること。
これに思いをめぐらせてほしいのである。

その方が、人間として豊かになれるのではなかろうか。

足元も知らずして、未来は語れないし、
世界とも、話はできない、はずだから。

さてさて、もう一つ。

今年の、この日記のトピックスとして、筆者としては
そばや、についての考察、というのを挙げたい。

今まで、そばや、という業態について、故意に深く
考えることはしてこなかった。
正直にいうと、どうとらえたらよいのか、わからなかった、
ということなのである。

老舗と呼ばれるそばや。
筆者が趣味そば、と、呼ぶ、そばや。
そして、路麺(立ち喰いそばや)もある。

巷ではそば打ちブームだし、そばブームである。

筆者も、確かにそばやも、そばも好きなのだが、
今のこうした、そばブームには、なにがしかの、違和感を
持っていたのだが、それがなんなのか、
今ひとつ、うまく説明ができなかった、のである。

しかし、今年、いくつかの趣味そば、老舗を再度めぐってみて、
ある程度の結論がついた。

今の、そば打ち、そばブームの多くが、
「求道者気取りの、そば至上主義」の文脈で語られる。
これである。
これが、いけない。
これに違和感がある、のである。

人それぞれの趣味であるから、
それを支持している人々を否定するつもりはない。
しかし、それ以外のそばや、そばや、の、楽しみ方も
あっていいじゃないか、と、思うのである。
(ことに、グルメマスコミ!)

東京人のそばやは、そんな
「求道者気取りの、そば至上主義」ではなかったはずだし、
筆者の好きな、そばやは、そんなものではない。

なんといっても「求道者気取りの、そば至上主義」は
お客として、居心地が悪い。
価値観の押し付け、なのであろう。

老舗でなくとも、神田猿楽町松翁の居心地のよさを、見よ、で、ある。

西浅草・おざわも、よい。

そして、池の端藪並木藪蕎麦に、最も居心地のよさを感じる、のである。



さてさて、他にも様々な、与太話があったが、
今年の収穫(?)といえば、こんなところ。
来年は、どんなことになっていくのか、乞うご期待!。



さて、これで2007年の断腸亭料理日記は、お仕舞い。

一年のご愛読、深く感謝いたします。

来る年、2008年が、読者皆様にとりまして、
よき年でありますよう、お祈り申し上げ、
また、明年も相変わりませず、断腸亭料理日記を
ご愛読いただけますよう、お願い申し上げます。

平成十九年丁亥師走大晦日

断腸亭錠志



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