断腸亭料理日記2009

市谷砂土原町・鮨太鼓

1月23日(金)夜

さて。
今日は帰りに、鮨やへ寄る。

会社の近所、市谷砂土原町の鮨太鼓というところ。
今まで、きちんと書いていなかったが、
仕事帰りにちょいちょい寄っていたり、
正月のおせちを買っていたり、と、いうようなところ。

江戸の地図


場所は、今は市谷砂土原町一丁目という町名だが、
この地図でいうと、
長延寺谷、長延寺谷町、と書かれているところ。

谷町というくらいで、谷になっているのだが、
ちょっとこのあたり複雑な地形である。

東京の山の手は本当に坂が多い。

大きくこのあたりの地形をいうと、
外濠から北へ向かって市谷牛込の台地である。
それがこの地図でいうと坂でいえば、西から左内坂、浄瑠璃坂なのだが、
この長延寺谷だけ、北へ向かってわずかに登っているのだが、
東西からはへこんでいる、のである。
お分かりになるだろうか。
この北に中根坂、というのがあるがこれがそのへこみ。
台地の間の、谷筋、ということである。

さて、この店、鮨太鼓。
元は、麻布だか六本木だかにあった、と、いう。

いつ頃であろったろうか、よく覚えていないが、
それでも10年以上前であろう、この場所に移ってきた。
近所でもあるし、昼飯などにもよくきていた。

そして、ここ数年、帰りにちょくちょく寄る店となっている。

ここのよいところは、いわゆる有名店、
ではないが、私と同年輩の板さんがいること。
話がしやすい、ということなのである。

きちんとした江戸前鮨の修業はされ、仕事も丁寧。
信用できる腕を持った鮨職人であると思っている。

帰り、店に入り、カウンターに座り、
お酒は、お燗で、もらう。

お通しが出て、
そういえば、と、いうので、
この前、自分でほっき貝をさばいた話などをした。

生で食ったが、やっぱりちょっとでも火を通した方が
うまいんですよね。
ついでに、ひもも貝柱もうまい、と。

で、ほっきのひもと貝柱を串にして炙ってくれた。


やっぱり、うまい。
こういうのは、うれしいもの、で、ある。

次に出してくれたのは、のどぐろの干物を焼いたもの。


のどぐろ、と、いうのは、こんなに小さくても(15cm程度)、
驚くほど、脂がある。

握ってもらって、

光ものはなにがありますか?と、聞いて、
小肌。


いつも書いているが、小肌と、いうのは、
美しい。
また、握り方もいろいろある。
これは一見、二枚に見えるのだが、
これで、一枚。
こうしたところも、江戸前鮨の技、と、いうもので、あろう。

と、一緒に、春子(かすご)も握ってくれた。


春子、とは、鯛の子供、小鯛で、ある。
字の通り春のもの。

鮨やでは、〆て、出し、
鯛であるが、光ものに、分類される。

うまいもの、で、ある。

この辺で、酒も、二合ほどで、いつも終り。

最後に、巻物。
今日は、鰯を巻いてもらった。


鰯巻き、で、ある。
光ものを巻く、と、いうのは、ままある。
海苔巻き(かんぴょう巻き)よりは、もう少し
おもみがあり、乙に食べたいというような時、
で、あろうか。

鰯と合わせて巻くものは、普通はつまに出される、
甘酢しょうが(ガリ)と、大葉であるが、
生の生姜を細く切ったものと、大葉で巻いてくれた。

甘酢しょうがでは、味が強すぎるから、ということか、
さっぱりと食え、うまい。

これで、お勘定。
6000円。

安くもないが、高くもなかろう。

日常、適当に、呑んで、つまんで、握ってもらって、
帰る。

気軽に寄れて、話もできる、鮨や、で、ある。



〒162-0842
東京都新宿区市谷砂土原町1丁目2-57
03-3267-6919





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