断腸亭料理日記2009

佐竹商店街・焼肉・班家(ぱんが)

5月30日(土)夜

さて。

土曜日。
朝、早く起きてしまった。

昨夜、神田鶴八から帰ってきて、そのまま寝てしまった、
のである。早く寝たのもあるが、やはり仕事が気になっていたのだろう。

とにかく、午前中、仕事。

資料作り。

が、早く始めたせいもあるが、昼までには終わった。

さて、夜。

今日は、内儀(かみ)さんの希望で、ご近所、佐竹商店街にある、

2007年

2008年

焼肉や、班家。

今、そこそこ、有名な店になっているのではなかろうか。
班家は、ぱんが、と、読む。

班家、の、意味は、というと、説明をすると長くなるようだ。
ちょっと気になったので、調べてみた。

韓国朝鮮半島の歴史、というのは、意外に今の我々は、
隣の国でありながらあまり知らない。
特に若い人はそうであろう。班家の店の名前を説明するのに
こんなことから書くのもどうかと思うが、少しだけ、
お付き合いいただけまいか。

朝鮮半島というところは、第二次大戦まで、日本が領有し、
日本国内への労働力として半ば強制的に連れてきたり、
日本語名に変えさせた創氏改名、日本語の強制、従軍慰安婦、、等々、
挙げはじめたらきりがないのだろうが、かの国民の方々に
筆舌に尽くせない多大な辛苦を与えてきた。
(このくらいは、知ってようが。)

と、その、日本統治の前。
このあたりになると、もうほとんど知らない、と
いってよかろう。
最近は、韓流ブーム、チャングムなどで、
ほんの少し、見たり聞いたりするようになったが、
私も、ほぼ、知らないといってよい。

日本統治前には、李氏朝鮮。
朝鮮王朝が、長い間、朝鮮半島を統治していた。
これは、1392年に始まる。日本はその頃、室町時代、二代将軍、
義満の頃。そして、日本の韓国併合が1910年、明治43年で、ここまで
続いてきたわけである。500年以上。
考えてみれば、そうとうに長い王朝、で、ある。
ちなみに、あの、チャングムの時代も、もちろん
この李氏朝鮮の時代で、1500年代中頃、日本は、戦国時代真っ最中。

だいぶ前置きが長くなってしまったが、ここで、やっと
班家、が出てくる。
その李氏朝鮮の時代、チャングムにも出てきた。
(オギョモ様、で、あったっけ。)王様ではなく、
貴族のような官僚のような、政治を牛耳っている
人々が出てきたが、これ。
これが、両班(やんばん)という、ある種の
身分を持った人々、家々、があったという。
で、その両班の家を、班家、というらしい。

両班の説明を少しすると、両班は、日本の大名ともまた、
ちょっと違うようである。
そもそも、朝鮮の社会制度が同時期の日本の封建制度のようなもの
ではなく、それ以前の、律令制に近いものといった方がよいようで、
基本的には、王様を頂点とする中央集権国家といえよう。
その中で、両班は、地方にも基盤を持っていたりしながら、中国と同じような
官僚の試験、科挙を受け、官僚職を代々続けるという、最上位の
階級であり、家、で、あったようだ。

この焼肉店が、その両班の家=班家に代々伝わる料理、そういった意味を
含んでいる、という理解でよいのかどうか。わからぬが、
ともかくも、班家の意味は、そういうことらしく、そういう料理も
実際にある、というのも事実のようである。

(しかし、それにしても私は、自分が朝鮮半島の歴史にしても
社会にしても、知らなすぎることを実感する。
例えば、今述べたような、李氏朝鮮時代の身分制度のようなものが、
現代どのくらい韓国国民の意識に残っているのか、、。
結局、私の視点で考察するとすれば、そういうポイントであろう。
今でも、日本に比べ、長幼の順を重んじたり、
一族の結束が強いとか、そういう話は聞こえてはくるが、
と、いうことである。)

閑話休題。

なんで、ここに今日いこうか、ということになったかという話。

近所であるので、なん回か、いったことはあった。
そして、なにか、この店で内儀さんが名前を登録してあり、
誕生日に、サービスしてくれる、という案内状がきており、
これに釣られて、いってみようか、ということだった。

この店は、佐竹商店街のだいぶ南の方。

こちらからいくと、右側に、ある。
なんとなく、この古い商店街に似つかわしくない、
お洒落な今風の焼肉やの店構え。

(似つかわしくなかろうが、新しい店ができて
繁盛する、というのは、この商店街のためには、よいことではある。
千束通り、などもそうだが、やっぱり、シャッター商店街であるのは、
寂しいかぎり。こんな町中にあるのだから、活性化の方法は、
いろいろありそうだが、経営されている方々も古く、
なかなか難しいのかもしれない。)

そんなこんなで。
一応、TELを入れて、出かけてみる。
また、例によって、雪駄に青いアロハ(先週とは違うもの、
で、ある。念のため。)という、いい加減な格好。

店入ると、テーブルは、一階。
ここのメインの席は、二階なのだが、なかなか繁盛しているようである。

ビールをもらい、キムチ盛り合わせ。


辛味は、だいぶマイルド、で、ある。
(このへんが、上品な、両班ということ?
わからぬが。)

チャンジャのクリームチーズ。


これはちょっとアイデアである。
チャンジャというのは、ご存じであろうか、
鱈であったか、魚の内臓の辛い塩辛。
私も内儀さんも好物、で、ある。
日本の塩辛、酒盗をクリームチーズと和えるというやり方は
あり、くさみや、塩辛さを緩和して、また、うまいのだが、
これの応用かもしれぬ。

サンチュ


盛り付けも、ちょっとお洒落。

誕生日サービスの盛り合わせ。


ハラミ、特製カルビ。
これがサービスは、うれしい。

どちらも、うまい。

一通り、食べたところで、レバー、と、ホルモン盛り合わせを追加。


味噌味、で、ある。
(これも、班家=両班風?)

ホルモン。


これも味噌味。
やっぱり、上品で、うまい。



最後に、ご飯もの、と、いうことで、
コムタン・クッパ。


コムタン・クッパは、牛テールのはらに染み渡る、スープ。
うまい。

チューハイやらにかえて、二杯ほど。

勘定は、サービス込みで、一人、3000円程度。
まあ、安くもないが、妥当であろう。

普段、焼肉、と、いうと、キムチ横町の
京城苑一本である。

そうとうに、店はB級だが、飛び切りクセになる焼肉。

ここ班家は、わざわざ、電車に乗ってくる人もいるようである。
お洒落で、マイルド、上品な焼肉。
たまにはよいであろう。



ぐるなび




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