断腸亭料理日記2010

浅草寿町・とんかつ・すぎ田

3月7日(日)夜

さて。

日曜日。

曇り空で、寒い。

どこへも出かけず、家ですごす。

毎度のことだが、夜はなにを食べようか、と、
内儀(かみ)さんと、相談。

内儀さんは、すぎ田のロースソテーを
久しぶりに食べたい、と、いう。

上の日記は、08年であるが、書いていないだけで、
おそらく、昨年にもいっているとは思われる。

すぎ田、と、いうのは、拙亭から最も近いところにある、
最もうまい、とんかつや、で、ある。

このところ、先日の目黒とんきは別だが、とんかつ発祥の地
上野のとんかつや探訪(?)
をしていたので、すぎ田にご無沙汰をしていた、のかもしれぬ。

蓬莱屋

双葉

ぽん多

井泉

この四軒に、目黒とんき、すぎ田を加え
どこが最もうまいのか、なんということも考えたくなるが、
おそらく、それをすることの意味はあまりないだろう。

値段も違えば、目指す方向、店の雰囲気、客層も違う。
それぞれ持ち味があり、いずれ劣らぬ老舗で、ある。
こういうところから選んで、とんかつが食える幸せ、
を、思うべきであろう。

そうである。

東京の名物、というのを考えたことがある。

うなぎ蒲焼、にぎり鮨。

この二つは、江戸・東京人に愛されてきた歴史、
食文化として、
(にぎり鮨は、江戸発祥である、と、いって間違い
なかろうが、うなぎ蒲焼については、発祥とまで、
いいきれないように思われるが。)

あるいは、存在感として、むろんうまさ、に、ついても、
どこへ出しても恥ずかしくない、東京名物、
で、あろう、と思われる。

これに、やはり、とんかつも加えていいような気がしてくる。
発祥である、と、まあ、いってよいと、思われるし、
ハイレベルの老舗が数多くある、ということ。
(先のなん軒かに、歴史からいえば、新宿王ろじ、も、
入れねばならぬであろう。)

にぎり鮨と、うなぎ蒲焼が東京名物の東西両横綱ならば、
とんかつは、どうであろうか、小結、くらいか。
はたまた、大関か。

とにもかくにも、うまいとんかつが食いたければ、
東京にきなさい、というのは、間違いないのでは、
なかろうか。(むろん味噌かつやら、ソースかつやらは
除外して、で、ある。)

そんなわけで、一応予約して、今日は、
夜8時、10分前に内儀さんと、家を出る。

むろん、徒歩、で、ある。

昼間は曇っていたが、今は冷たい雨。

真っ直ぐに東へいって、新堀通りを渡り、
国際通りも渡って、右。

春日通りの交差点の手前、で、ある。

明るくて、温かい店内に入る。
店の前にも飾られていたが、中にも
盛りだくさんの桜の花が活けられている。

カウンターはほぼ満席。
奥の座敷にも、お客は入っている。
用意されていたのは、カウンターの一番奥。

ビール、アサヒのプレミアムをもらい、
オーダーは、ロースソテー、ロースカツ、
海老フライも。

ビールが運ばれ、二人でゆっくり呑みながら待つ。

少し前から、息子さんであろうか、若旦那もとんかつを
揚げるようになってきていたが、今日は、若旦那がメインで
揚げている。(ご主人はマスクをされており、風邪、でも
引かれたのか。)

ここは、温度違いの二種類の油で揚げている。

ロースソテーは、ウイスキーであろうか、
大量の洋酒で、景気よくフランベ。
高々と、火が上がる。

ロースソテーからきた。


時間差なく、ロースカツ。


大きな海老フライ。


ソテーは、香りもよいし、肉のうまみにあふれている。

とんかつ、と、いうのは、もともとの肉のグレード、
厚み、などがあり、それを活かすように揚げる、腕、
と、いうことになると思う。

すぎ田はロースカツが、2000円。
町場の普通のとんかつやでは、1000円を超えないところも
ざらにある。この違いは、結局、肉の品質と、厚み、大きさで
決まってくる部分が大きい。
試しに、スーパーの安いとんかつ用のロース肉と、
ブランド豚などを扱う、専門精肉店と、比べてみるがいい。
厚みが倍になるだけで、単純計算でも2倍の価格である。
これに大きさと、柔らかさ、うまみ、などを加味した品質を
加えれば、ゆうに、3倍、4倍の値段はついている。

前にあげた上野の老舗などもむろんそうである。
食べてみればわかるが、明らかに肉質が違うし、
大きさ厚みが違う。

さらに、その肉を最もうまい状態で
とんかつに揚げて出している。

決して、べら棒な値段ではない。

出された直後は、中心がピンク色で柔らかく、
うまみたっぷりな、肉、で、ある。

海老フライも、プリプリ。

適当なところで、ご飯と豚汁をもらって、
仕上げ。

うまかった、ご馳走様でした。






すぎ田
TEL 03-3844-5529
台東区寿3丁目8−3


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