断腸亭料理日記2013

吾妻橋・藪そば

7月21日(日)第二食

さて。

日曜日。

今日も日は出ているが、多少涼しげ。

午後、腹が減って、内儀(かみ)さんとともに、出る。

先日、吾妻橋へ髪を切りに行って、
以前行った[吾妻橋藪そば]を見つけられず、結局、西浅草の
[おざわ]  へ、いった。

[おざわ]も、むろん個性があってよいのだが、
新しくなった(といっても、2〜3年前に移転新装のようだが)
吾妻橋藪を見つけられずにいるのは、悔しい。

それで、先週に引き続き、そば、ではある。

以前の[吾妻橋藪]は、文字通り吾妻橋を渡って真っ直ぐ行って、
浅草通りに出る手前左側にあった。

移転したところは、近所は近所だが、
吾妻橋ではなく、駒形橋を渡った東詰の交差点、
川沿いに北へ向かう通りを渡ったところ
(表現が難しいが、交差点の角)にある。

ここ、移転した後も、なん度も店の前は通っているはずなのだが、
まったく気が付かなかった。

天気はよく、日差しは強いのだが、自転車で走ると、
風を切って、気持ちがよい。

元浅草の拙亭から真っ直ぐ東へ向かって、新堀通り、国際通りと
越えて、寿を突っ切って、[駒形どぜう]とバンダイの路地から、
蔵前(江戸)通りを渡る。

駒形橋西詰め。
ここの隅田川越しの、スカイツリーの眺めはよい。

左に赤い駒形堂があって、吾妻橋向こうのアサヒビールの黄金の
オブジェとビル。右奥に真っ直ぐに、スカイツリーがみえる。

浅草の小ぎたない、細い路地の向こうに真っ直ぐす見える
スカイツリーも、らしくてよい、のではあるが、ここのツリーは
とてもすっきりしている。

駒形橋を渡って、信号を渡れば[吾妻橋藪]。

以前は、知る人ぞ知る名代の店ではあったが、見てくれは
いかにも町の蕎麦や、であった。

店前に自転車をとめる。

白い麻の暖簾。


ちょっと見、には例の“趣味そば”っぽい。

暖簾から覗くと、なんと、中に数人待っている人。

新装とスカイツリー効果であろう。
橋の袂で、視界が開けた場所で、新和風の店の感じは
以前よりもずっとお洒落。

スカイツリー観光の人にも、いかにも東京下町の蕎麦やを
満喫、ということになるのであろう。
(ただ、実際の下町には、小奇麗ではないものもあり、
それが下町の真骨頂なのであるが。)

着いたのが15時頃。

16時までの営業のようなので、ギリギリかもしれない。

ガラス戸の前で待つ。

戸の脇の植え込みに、蚊取り線香が焚かれている。
外で待っている人への心遣いであろう。

夏らしい香。

最近は、私の住んでいる10階の元浅草のマンションには
蚊はまったくこないので、蚊取り線香とはもうなん年も
縁がない。
よいものである。

10分程度で、入れた。

テーブル数は以前よりも少し増えたのかもしれない。

なぜか、ちょっと低めの椅子とテーブル。
不思議な感じだが、座りやすい。

まずは、ビール、大瓶。


浅草もそうだが、このあたりは、まず、アサヒ・スーパードライ。
お膝元である。

冷たいビールが、なにより、うまい。

肴は、蒲鉾。

それから、真夏だが、ここでは食べたことがないので、
天ぬきも。


藪そばらしい、シンプルだが乙な皿に載せられている。
これが江戸前の酒の肴、というものであろう。
(断じて、アテ、などというものではない。
どこぞの蕎麦通氏がこの店のコメントに、アテという言葉を
使われていたが、やめてほしい。東京、それも下町、正統派
江戸前の蕎麦やに間違っても関西弁を使ってほしくない。)

天ぬき。


冷房がよく効いた店内では、真夏でも、天ぬきは十二分にうまい。
藪そばの天ぬきは、基本、この芝海老かき揚げである。

つゆの濃さは、雷門前の並木藪ほどではないが、
下町スタンダードの濃さであろう。

菊正を冷(ひや)で一合。


この徳利も、藪そばでよく見る真っ白の丸っこいもの。

呑み終り、そば。

ここは、ごまだれ、というのもあり、名物だが、
ノーマルなざる。


ここの盛り具合は並木や池の端よりも多い。

ただ、色が多少薄め?、細さも多少太目のような気がするが、
気のせいか。

このつゆもやはり、下町スタンダードの濃さといってよかろう。

のど越しがよい。

店の見てくれは変わっても、中身は変わらぬ、
[吾妻橋藪そば]。

新装開店から、2年程度経っているようだし、
これからも変わることはないかもしれぬ。

こういう肩ひじの張らぬ、だがうまいそばを食わせてくれる
店が、駒形橋東詰のこの場所に、この佇まいであるのは、
貴重なことである。

 

墨田区吾妻橋1-11-2
03-3625-1550



 





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