断腸亭料理日記2017

日比谷・フレンチ・

アピシウス その2

10月9日(月)体育の日 夜

引き続き、日比谷の「王道のフレンチ」[アピシウス]。

一皿目のアミューズからであった。


「鮎、蛸、鱧、の冷製アラナージュ仕立て」

とメニューにはある。

そして、メニューには書かれていないが、
奥に置かれている四角い小皿。
薄いトーストになにやら黒っぽいものが塗られている。
これは鮎の内臓のペーストとのこと。

手前の薄い赤味が入った、スープのように見えるもの。

上に散らされているのが細く切った茗荷。
説明によれば、はつか大根の風味(?)をつけた冷たいスープに
火を通した、鮎、鱧(はも)、蛸。

このスープには酸味が付けてあり、手法はフレンチなのであろうが、
ほぼ和食。会席料理のようである。
これが「王道のフレンチ」?と突っ込みたくなるが、
うまいので、むろん二重丸。

さわやか。

今日なども、晴れてそこそこ暑かったので、最初の一品には
絶好ではないか。

そして、鮎のはらわたをぬったトースト。

鮎のはらわたといえば、塩辛をうるかというではないか。
珍味であり、酒の肴。

多少スパイシーにしてあるようだが、まごうことなき、
うるか。
これもほぼ和食である。

日本人であれば、フレンチでもイタリアンで料理人であれば
こういうことが簡単に(でもなかろうが)できてしまう。
それも、うまいものが。
明らかに、日本人シェフの強みであろう。

ともあれ、乙なもんである。

次、前菜。

「ブルターニュ産オマール海老のショーフロワ
オニオンムースリーヌとキャビア添え」

とある。

そもそも、これで前菜というのは、さすがで、ある。

オマール海老は例のザリガニ。
ちゃんとはさみの形もわかる。

ブルターニュというのはフランスの西側、大西洋に面した半島。
ノルマンディーの南隣。

オマール海老といえば、ここのものが最良とされているようである。

ショーフロワ、とはなにか。
調べてみると、フレンチの昔からある手法で温かく作った料理に
ゼラチンベースのソースなどをかけて冷やし固めたもので
宴会料理などで美しく飾った盛り付けをしたもの
、という。

(ほー、なるほど。)

ムースリーヌとは?。

「サバイヨンや生クリームを加えて作ったキメの細かい
クリーム状の軽いソース。」

だそうな。

「サバイヨン」がまたわからなかったりする。
まったくトウシロウなのでしょうがない。

言葉が似ているが、食べてみると
テリーヌを柔らかくしたようなものである。

そして、その上にキャビア。

まわりに散らされているのは海老(オマール)から取った
スープをベースにしたソース。

オマールを食べてみる。

これは、これは、べら棒にうまい。

先ほど、ゼラチンで固めたという説明があったが、
これは、そんなことはどうもしていない感じである。

茹でて冷ましただけ?。

わからぬが、他の食感や味はしない。
オマール海老そのものではなかろうか。
ただし、その茹で加減なのか、冷まし加減なのか
わからぬが、実に絶妙。

よく、エビ・カニを茹でると、多少水っぽく
なると思うのだが、それがまったくない。
プリプリでうまみたっぷり。

よい江戸前鮨やで、さいまき海老(車海老)を
茹でて、人肌ぐらいまで冷ましてにぎった
海老のにぎりの茹で加減?!。

まあ、それくらい絶妙に仕上がっている。

そして、先のオニオンのムースリーヌとキャビア。
ムールリーヌの方は、ほぼオニオン玉ねぎその物の味。
両方一度に口に入れて、口の中で、オニオン風味を
キャビアにつけて一つの料理にしている、といった
感じであろうか。

なにかとなにかを合わせて、よりうまいものにする
というフレンチの手法を体現しているようなものか。

いや〜、うまい、うまい。

次、魚料理。

「ブルターニュ産の平目のムニエル」。

またまた登場の、ブルターニュ産。

調べてみると、ヨーロッパの平目は、日本のものとは種類が
違うようで、Turbot、日本名、イシビラメというよう。

むろん、私は初めて。

付け合わせは、カリフラワー、ブロッコリー
左はおそらくなす。





つづく



アピシウス

千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館 B1F
03-3214-1361


 


    

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 |



BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2017