断腸亭料理日記2017

日比谷・フレンチ・

アピシウス その3


週をまたいだが、引き続き、
日比谷の「王道フレンチ」[アピシウス]。


鱧(はも)や鮎を使ったさわやかなチャームの皿があって、
オマール海老の前菜に続いて、
魚料理、で、あった。

「ブルターニュ産の平目のムニエル」。

なぜだか、先につけ合わせから食べてみた。

カリフラワー、ブロッコリー。
これが、なんだかべら棒にうまい。

味はほとんどついていない、
温野菜ということになるのであろうが
温かいのはもちろん、それぞれの味が生きている
というのであろうか。旨みにあふれている。

オマール海老でも感じたのだが、ただ茹でただけでは、
どうしても水っぽくなるはずだと思うのである。

これほど上手に茹でる、というのはさすがの技。
きっとなにか特別なことをしているのであろう。
見た目はただ茹でただけの目立たないものではあるが、
一流の仕事、といってよい。

肝心の平目。

肉厚。

書いたように、日本のものとは種類が違うようで、
Turbot、日本名、イシビラメというもの。

これ、初めて食べたかもしれぬ。

火の通し具合もむろんよいのだろうが、身がプリプリ。
日本の鰈、平目の類よりも、ゼラチン質が多いかもしれぬ。

ソースがまた、おもしろい。
褐色のソースのベースは焦がしバター。
そして、写真でも、丸い粒のようなものが
お分かりになると思うが、これ、おそらくエキスを
ゼリー状の粒にしたもののようである。
味は、レモンとトマト(?)。
もう一つの黒っぽい粒は、生の胡椒のよう。

これらがともに平目とともに口に入ると
焦がしバター、レモン、トマトなどの風味が加わり、格別。

それにしても、こんな肉厚の魚に火を通すのは
どうしているのであろうか。
フライパンだけであろうか。

このTurbot、イシビラメというのは、
養殖もされているらしいが、ブルターニュの海で
獲れた天然のものはかなりの高級魚のよう。

そして、肉料理。

ワインも赤に替ったわけで、担当のソムリエ氏が
選んで、説明していただいたのだが、ほぼ
憶えていないのは、まったく情けない限り。

「国産黒毛和牛ロース挽き肉の半生ステーキ
 ビトーク アビシウス風」

これがスペシャリテ。

生の牛挽き肉をそのまま食べると、
タルタルステーキになるが、表裏両面に
焦げ目を付けて焼いたもの。

ただ、中はほぼ生。

まわりは、揚げた玉ねぎのようだが、
これはじゃがいも。

そしてソース。
見た通りクリーム系だが、ちょっと酸味があるもの。
ちょっとマヨネーズに近いイメージか。
色も黄色味がかかっている。
むろんマヨネーズなどよりも、数段上品。

あ!そうである、これはステーキなので
辛味はほとんど感じられないが、
マスタードか。

アップ。

しかし、実にきれいな焼き上がりではないか。

味は?。

これがまずいわけがない。

和牛だからうまいのか。

和牛なので、脂がある、のかどうか。
ただ、食べたところ、あまり霜降り肉の
脂の感じはしない。
それで、くどくも、ヘビーでもない。

また、練ってあるのか、食感は滑らか。

うまい、うまい。

「ビトーク」(bitoke)というのがどうも
こういう牛挽き肉の料理のようで、
「フランス風ハンバーグ。ロシア料理から由来したもの。」とのこと。

ご馳走様でした。

「フレンチの王道」というからどんなものかと思っていたら、
全体を通して、うまかったのはもちろんだが、重さや
しつこさのようなものとは無縁。上品ですっと食べられた。
あたり前かもしれぬが、流石である。

さて、これで、メインまで終了というわけなのだが、
これが「王道のフレンチ」、ここからが長い。

チーズ、デザート、さらにコーヒーに
ミニャルディーズ(お茶菓子)と続くのである。

チーズを前にして、運ばれたもの。

堅めのレーズンの入ったパンと、
右側ものはなにに見えるであろうか、
ドライフルーツの無花果(いちじく)。

どちらも、チーズに合わせるもの。
フレンチやイタリアンでは定番といってよいのであろう。





つづく



アピシウス

千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館 B1F
03-3214-1361


 


    

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