断腸亭料理日記2022

鴨せいろ

4063号

4月1日(金)夜

今夜は鴨せいろ。

秋葉原のハナマサで合鴨こま切れというのを
見つけた。
近所のハナマサには売り場が狭いせいか置いていない。

合鴨肉はタイ産であるが、値が上がっている。
コロナ禍が原因のよう。
現地の生産加工が止まり、輸入も止まったと聞く。
この後、戻るのか、そのままか、さらに上がるか。
合鴨好きには予断は許さぬかもしれぬ。

これ。

こま切れだからか、少し安い。
胸などの一枚肉でなければできない
ローストにはできないが、つくね、であれば
ちょうどよい、で、鴨せいろ。

そばは、買い置きの乾麺でよいか。

鴨せいろというのは、そばつゆに鴨肉を
入れるわけだが、つくねを入れると
もっとうまい。
つくねは出汁が出る。

叩いてだんごにしたつくねと、焼いた肉も
両方入れよう。

まずは、こま切れから肉と脂を切り分ける。

つくねの方には脂を減らした肉。
切り分けた脂は出汁として、煮出すのに使う。

肉は焼いて最後に入れる。
生の肉をつゆで煮てしまうと、火の入り具合の
コントロールが難しいのである。
鴨肉というのは、すぐに縮んでしまう。
レアを目指さなくてはならない。

先にフライパンで焼いておく。
脂身を少し取り、先に入れ脂を出し、焼く。

強火で軽く焦げめを付け、すぐに止めておく。

つゆ。
いつもの桃屋。

そうである!。

私は20年以上、つゆは桃屋以外使っていない。
主に、そばつゆ、天つゆに使っているもの。
桃屋は東京のそれも下町の味なのである。
甘辛が濃い。

つゆは各社出しているが、皆、薄い。
皆、むろん希釈タイプだが、それで薄い、
というのは妙なようだが、しょうゆの割合が
低いのであろう。
つゆというのは、ご存知の通り鰹節などのだしメーカー、
あるいはしょうゆ、調味料メーカーなどが出している。
漬物メーカーの桃屋は例外的な存在なのはおもしろい。

薄いのは西日本のメーカーだけかと思うと、
そうでもなく、東日本、東京のメーカーでさえ、薄い。
私の好みは東京でも標準的な味ではないのである。

その桃屋のつゆが界隈のスーパーの棚から消えている。
これは由々しき事態である!。
2軒、たまたまの品切れかと思ったら、定番から
外れているよう。
あまり安売り対象でもないからか。
かなり探してやっと置いている店を見つける始末。
それで今は見つけると二本買うことにしている。
マイナーな好みであることは端から承知しているが
ますます肩身が狭くなっている、のか。

閑話休題。

桃屋のつゆを少しの水で割り、先に脂身を入れて
煮出す。

私は、ここにしょうゆを少し足している。
桃屋でも気持ち、甘味が強いと感じる。

細かく切った鴨肉を丸め、脂の出てきたつゆへ。

つくねに火を通すと、長く切ったねぎ。

乾麺のそばもゆで始める。

本わさびをおろす。
麺が乾麺なのに、わさびが本わさびというのは、
ちょいと釣り合いがとれぬか。

ほたるいかのぬたに使ったわけぎが残っていたので
薬味のねぎは、わけぎ。

出来上がり。

ビールを開けて、食べる。

わさびを箸先でつまみ、そばを取り、
つゆにつけて、手繰る。
うまいのだが、まあ乾麺なので、それなり。
香り、なのか。
最近、乾麺でも十割などうまいものが
増えているというが捜してみようかしら。

そばはともかく、やっぱり鴨。

つくねというのは、合鴨の食い方の中で、
かなり上位の方ではなかろうか。

先日のあひ鴨一品[鳥安

でもつくねは、そこそこの量出てくる。

[鳥安]は焼きだが、このようなそばつゆで、
甘辛に煮るのも、むろん、うまいもんである。

そして、つゆ。
合鴨のつくねと脂身から出た脂と香り、おそらく
うま味もあるのだろう。鶏とはまた違ったもので
まったくクセになるうまさ。
鴨南蛮ではなく、鴨せいろのよさ。
より濃厚。

胸肉の一枚肉を買うと、つくねなどにするのは
もったいないと思ってしまうが、こういう
こま切れはありがたい。鴨せいろに最適。
いつまであるかわからぬが。

 

 

 

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