断腸亭料理日記2023

そば・元浅草・砂場

4291号

3月2日(木)第一食

さて、ちょいと久しぶり、で、ある。

ご近所、拙亭から最も近い飲食店。
同じ町内会、七軒町のそばや、元浅草[砂場]

第一食が、後ずれしてなかなか行けなかった。

今年に入って、暖簾が新しくなり、五代目、
という文字が入った。
代替わりされたよう。

覗いてみなければ、と、内儀(かみ)さんと
13時少し前、きてみた。

いつもの通り、ミニかつ丼ともりのセット。

やっぱり今、一番食べ慣れているそば。

砂場らしい白く細い。
そして、東京下町浅草らしいしょうゆが勝った
濃いつゆ。

ここちよい喉ごし。

これでなければ、いけない。

かつ丼も、店で揚げているので、肉が厚い。

いつも通り、うまかった。

ご馳走様です。

今日気が付いたのだが、貼り紙。
「かき南蛮そば」。

かきそばというと、これは試してみなければ。
好物。

五代目に代替わりされて、新しい試みを始められたよう。

品書きには、明治32年(1899年)創業と書かれるように
なった。

今年で124年。
そんなに古かったのか。
正直、驚き。
うまい、浅草らしいそばやであるが、顔は、町の
そばやである。

以前、この界隈、浅草七軒町、同北三筋町、同永住町に
またがる一角の大正の頃と思われる、街並みの史料を
紹介したことがある。(「大正・昭和初期の浅草芸能」
伊藤経一(文芸社)2002年)

この地図は明治40年だが、この界隈で育たれた著者が
記憶で書かれた街並みを、私が重ねたもの。
この地図に「そばや」というのはあるが、
著者の方の記憶なので定かではないのかもしれぬ。

この頃には、この店はもう既に開店していた。

「開盛座」という緞帳芝居の劇場があって、ランドマーク。
風呂屋、八百屋、髪結、銀座木村屋の暖簾分けなのか、
パン店。
こんな狭いところにカフェーが二軒も。
むろん、今のカフェではなく、今でいえば、キャバクラ
あたりになるのか。夜、酒の相手をする女性がいる店。
ちょっと大きな鮨や、開業医もあって、天ぷらや、薬や。

今ではちょっと想像できないくらいの賑わいと
いってよいのではなかろうか。

そういえば、もう少し後、昭和に入った頃になるが、
池波先生は、大正末に浅草聖天町で生まれて、この
永住町で錺職をしておられたお祖父様の家で少年時代を
送っている。

な〜んとなく、ではあるが、少し街の様子が
想像できそうな気がしてくる。

ともあれ。

3月6日(月)第一食

さっそく、また、かき南蛮を食べにきた。

1,300円也。
ここでは、高価。

これ。

ちょっと、驚き。

アップ。

お分かりになろうか。
あんかけ、なのである。

三つ葉と白髪ねぎ、ゆず。
長く切ったねぎではなく、細く切った白髪ねぎというのは
一つのポイントかもしれぬ。

かきのそばというのは、そうどこのそばやにでもある
というものでもない。上野の某店のものは好きであったが、
あれは確か、かきを炒めていた。
また、閉店をしてしまったが、池之端の[藪蕎麦]にも
あった。あそこのものは、つゆがしょうゆを
控えた、澄ましのようなものであった。

かきのそばは、これ、というものが定まっておらず、
扱いが、なかなか難しいのではなかろうか。

まずこれ、つゆがかなりよい。
かきの出汁が出ているし、もしかすると
ここのノーマルなかけつゆとも違っているのでは
なかろうか。

かきは、5〜6個も入っているか。
炒めたりしているのではなく、つゆで煮ているのか。

あんかけなので、熱々。
寒い冬には、なにより、である。

ただ、かきそのものの味。
かきというのは、クセが強い。
こういうもの、といえばその通り、なのだが、
つゆで火を通しただけということか、かきの味が、
ダイレクト。もしかすると、これは好みが分かれる
かもしれない。(まあ、かきがだめな人は、端から
食べなかろうが。)

ともあれ。
うまかった。
ご馳走様でした。

新たな、元浅草[砂場]。
浅草らしい、うまいそばに期待!。

 

Facebook


03-3841-8001
台東区元浅草1-1-1

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |

2018 5月 | 2018 6月| 2018 7月| 2018 8月| 2018 9月| 2018 10月| 2018 11月| 2018 12月|

2019 1月| 2019 2月| 2019 3月 | 2019 4月| 2019 5月 | 2019 6月 | 2019 7月| 2019 8月

2019 9月 | 2019 10月 | 2019 11月 | 2019 12月 | 2020 1月 | 2020 2月 | 2020 3月 |

2020 4月 | 2020 5月 | 2020 6月 | 2020 7月 | 2020 8月 | 2020 9月 | 2020 10月 | 2020 11月 |

2020 12月 | 2021 1月 | 2021 2月 | 2021 3月 | 2021 4月 | 2021 5月 | 2021 6月 | 2021 7月

2021 8月 | 2021 9月 | 2021 10月 | 2021 11月 | 2021 12月 | 2022 1月 | 2022 2月 | 2022 3月 |

2022 4月 | 2022 5月 | 2022 6月 | 2022 7月 | 2022 8月 | 2022 9月 | 2022 10月 |

2022 11月 | 2022 12月 | 2023 1月 | 2023 2月 | 2023 3月 |

BACK | NEXT

(C)DANCHOUTEI 2023