断腸亭料理日記2024

浅草・弁天山美家古寿司 その2

4507号

引き続き、浅草の[弁天山美家古寿司]。

珍しくあった、たこをつまみ、にぎりで白身、いか。
光物、ときた。

 

 

そして、次は、鰹。

たたき。
もう2月。戻り鰹ではなく、脂の少ない、初鰹といって
よいのだろう。みずみずしくて、うまい。

次は、これ。

煮いか。
いかのにぎり鮨に生を使うようになったのは明治になって
からという。それ以前はこうして火を通したもの。
この煮いかは、ここでは、するめいかで、甘いたれを
塗るのが通例。これもうまいものである。

珍しく、貝。
赤貝。

私が貝類を頼むことはあまりないのだが、
実のところ、内儀(かみ)さんは好物。
これも酢をくぐらせたものと思われる。

ついでに、とり貝も。

ゆでたものではなく、生を赤貝同様、酢をくぐらせ
たものか。

赤貝もそうだが、生との違いは、よりクリアな味
になって、生もよいが、これもまた、うまい。

今日は、なにか食べ尽くし、に、なってきた。

次は、これ。

食べる順番としては、いつもは光物あたり。
ショーケースにあったのだが、見落としていた。
しまあじ。

他のものもそうだが、サクから切るものはここは厚切り。
ぷりぷりでよい歯応え。うまい。

次は、海老。

内儀さんの好きな、おぼろをはさんでくれる。
これも、ぷりぷり。

ゆでただけではなく、薄い甘酢に漬けているのが、
江戸前の仕事。
都度ゆでて、ゆでたてを握るところもあるが、
これが、面倒だが一番よいのであろう。

ゆでたまま置いておくと、どんどん水分が抜け、
パサパサになる。甘酢に漬けると、これを防ぐ
効果があろう。

煮はま。

甘いたれ付き。

これも江戸前定番の仕事。
煮蛤のことだが、実際には煮ておらず、つゆに
漬け込んでいる。
この大きさの蛤は希少である。

さて、そろそろ終盤。

次は、これ。

まぐろヅケ。

やっぱり、うまい。
まぐろをしょうゆに漬けるのは、もちろん元々は
日持ちをさせるためだが、アミノ酸が増えて、あまくなる。

今日のは赤身でも微妙に中とろ寄り、とのこと。
ヅケは赤身も、中とろもよいが、これ、かなりうまいぞ。

巻物。

かんぴょう巻。

細巻一本の半分は、さび入り、

もう半分は、内儀さん向けにおぼろを入れてくれた。

どうも、若親方は、我々がくるとわかると、
手ぐすねを引いて、おぼろをたっぷり用意して、
手元に置いてくれているよう。
こんな客は少なかろう。まったく、有難い。

どうも、食欲に歯止めが効いていないかった、
もう一本頼んでしまった。

ひもきゅう巻き。

むろん、赤貝のひもと、きゅうりを巻いたもの。
以前はかなりこれにはまっていた。
もちろんうまいが、巻物でも、粋、ではないか。

ショーケースの私の目の前にひもが置いてあり、
ずっと気になっていたのである。

最後、内儀さんの玉子。

これで、内儀さんはどうしても〆たいらしい。
おぼろたっぷり。

まあ、玉子焼きを最後に頼むのは、定石だと思うが。

おぼろというもの、東京の鮨やからほぼほぼ姿を消して
いるといってよいと思うが、実のところ、あって
然るべきものではないかと、思い始めてきた。
江戸期の浮世絵に出てくる鮨には女性のいるお座敷も見える。

見立源氏はなの宴 (これは吉原のよう。)
三代豊国 安政2年(1855年)

おぼろは女性向け、ということもあるのだが、特に
生だけをにぎる鮨ではなく、仕事をした種で一つの
料理としてにぎり鮨を考えた場合、おぼろは
よい仕事をする。もっと見直してもよさそうである。

ここまで。

勘定は、二人で26,400円也。

ともかくも、くいすぎた〜。

ご馳走様でした。

うまかった、うまかった。

 

弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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