断腸亭料理日記2024

蛤鍋

4519号

3月4日(月)夜

昨日は、ひな祭り。
また、少し暖かくなった。

ひな祭りといえば、蛤(はまぐり)。

なぜであろうか。

蛤に限らず、貝類の旬は春、だから、ということか
と思っていたが、人形の東玉によれば、蛤は二枚貝で貝殻は、
他の貝殻とは合わない。

夫婦和合の象徴ということか。
そういえば、昔、平安の頃か、貝合わせなんという
遊びもあった。

ともあれ。

蛤というと池波先生であろう。お好きであった。
「その手は桑名の焼き蛤」で有名な、伊勢湾桑名の蛤なども
書かれているが、蛤の湯豆腐というのが 「食卓の情景」
登場する。

蛤のつゆで、酒を呑むという。
つゆや汁で酒を呑むというのは、違和感があったが、
試してみると、なるほど、よく合う。

つゆや汁は十分に酒の肴である、ということを知った。

そういえば、そばやの、天ぬき、鴨ぬきも、汁物だが
酒の肴である。

で、今回、こんなものを見つけた。

「池波正太郎指南 食道楽の作法」佐藤隆介 (新潮文庫)

佐藤隆介氏というのは、池波先生の書生を長年務められ、
先生のフランス旅行などにも運転手として同行されたり、
蔵書の整理などなど、近くで関わられた方。2021年に
鬼籍に入られている。

ここに、湯豆腐よりも、もっとシンプルな蛤の鍋を
発見した。
佐藤氏は、池波先生から聞かされた、と、書かれている。

四畳半で女性と差し向かいで、なんという場面らしい。
はー、これもやっぱり先生の十代の頃の情景であろう。
おそらく吉原の女性。
そういえば、 浦里、なんというものもあった。

あれも吉原で敵娼(あいかた)が出してくれた、と。

ともあれ。
佐藤氏の書かれている先生直伝の蛤鍋のポイントは、
日本酒で煮ること。他に入れるのは三つ葉のみ。
これだけ。

極めてシンプル。
池波先生らしい。
東京下町の鍋というのは、かくあるべし、であろう。

煮る酒は、一緒に呑む酒でよい、と。

吉池に買出し。

蛤は基本いつもあるが、きてみると大きいものが、
一つ500円!。こんなに高いのである。

でも、仕方がない。四つ購入。

それから、三つ葉。

茨城産。鹿島灘、で、あろう。

今、ほぼ必要なくなっていると思うが、
洗って、塩水を作り、一応、砂抜き。

ひたひたに浸るよう、フライパンを使う。

塩水は海水程度、3〜4%あたりか。

1時間ほど置くが、別段、砂が出るということもない。

三つ葉も洗って切っておく。

お燗用に火鉢に火を入れ、鉄瓶を熱くしておく。

小鍋を用意。
日本酒は、たまたま封を切っていた、菊正宗の生酒。
これでよいか。

鍋に酒100%、塩一つまみ。
蛤も入れ、加熱。

ふたをして、煮たてる。

ふたが開き始めたら、カセットコンロを用意。
お膳へ。

お銚子を用意し酒を注ぎ、鉄瓶へ。

蛤が二つほど開いたら、三つ葉も投入。

OK。

燗もついた。

蛤を食べる。

!。
あー、、、、これ、酒がいけなかったか。

生酒なので、米麹の香りが強く、菊正だが、
かなりもったり。
呑んでいる酒も、同じものなので、なおさら。

こんな変わったものではなく、
ノーマルな辛口、普通の菊正でよかった。

ともあれ。
蛤自体は、この大きさで、味もよし。

つゆも煮ているうちに、小馴れてきて、多少飲みやすくも
なってきた。

食べ終わり、呑み終り。

残ったつゆで、おじやにする。
冷凍飯をレンジ加熱して、投入。
玉子も入れる。

玉子は、溶かずに直接鍋に割入れ、軽く混ぜる程度。

出来上がり。

蛤鍋。まあ、わるくはなかったが、次回こそは!。

 

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