断腸亭料理日記2010

冷汁定食

7月10日(土)朝

さて。

土曜日の朝。

相変わらず、梅雨だが、蒸し暑い日が続いている。
今週末は、『講座』まであと一週間なので、
資料やら、来月の予定のFIXやら、こなさなくてはいけない。

なにを食べようか。

蒸し暑いので、、、、
冷汁、などはどうであろうか。

本来は池波レシピであった。

その後、なん回か作っている。

2007年

2009年

池波作品には、冷汁は梅安、剣客にも出てきていたように
思う。また、実際に、池波先生は、ご自宅でも
食べられていたようでもある。
しかし、当初、読んだ時に、味噌汁を冷やすのか?
と、違和感があったことは否めない。
これは、日本人の多くの方が同意されるのではなかろうか。

だが、いろいろと、調べ、作っているうちに、
池波先生の冷汁から離れ、自己流だが、なかなか、うまいもの
が、できるようになってきた。

結局、冷やした味噌汁とは、本質的に違うものと
思った方がよかろう。

先日、ビシソワーズを作ったが、
やはり、蒸し暑い日本の夏には、
和風でも冷たい汁、冷汁は、よいものである。

と、いうことで、冷汁。

この料理の最大のポイントは、
干物などの魚を細かくし、煮出す、であろう。
普通の味噌汁よりもそうとうに濃く、で、ある。
例えば、冷蔵庫で冷やすと、翌日には煮凝りになるくらい。
これであろう。
また、入れた魚はむろん、汁の実、にもなる。

そして、あたり胡麻。香りと濃厚さ。
さらには、豆腐。さっぱりするし、汁であるが
満足感にもなる。

野菜系は、きゅうり、浮き実に大葉。
このあたりだが、これらは、あればよい、
程度の位置付けといってよかろう。

急に作ろうと思うと、どれだけのことができるか。

干物は、ない。
鰹のなまり節があるわけでもない。

どうしたものか。

!。

そうである。

煮干。

これで、なんとかならぬか。

細かくつぶして、濃く煮出す。

やってみよう。

煮干の頭と腹を取り、あたり鉢で潰す。
大量に必要だろう。
ふたにぎりくらい。

鍋に水を張り、煮立て、煮出す。

実は?
きゅうり、茄子もある。

茄子は、くたくたに煮崩れた状態がよかろう。
ちょうどよいので、煮干を煮出しているところに
切った茄子を入れ、一緒に煮る。

そうである。
味噌も先に入れてしまおう。

冷汁の本場、宮崎県では、
一度焼いた、焼き味噌を使う。
これは、味噌の香りを飛ばすため。

まあ、今は、味噌のいわゆる味噌くささ、
香りは、うま味成分で、煮立てない、飛ばさない
というのが常識になっている。
よくよく考えると、好み、ではあるかもしれない。
冷やした場合、味噌くささを嫌った、ということであろうが、
それでもよいのでは、という気もしてくる。

ともあれ。

一緒に味噌も入れて、よく煮込む。

味見。
やはり、冷やすので、濃いめを目指す。

よし。
茄子も、くたくたに近くなってきた。
よいだろう。

ここに、あたり胡麻。
豆腐はないが、きゅうりがあったので、
薄く切って、入れる。

これから、一気に冷やす。

洗面所に水を張り、冷凍庫に入れてある
蓄冷材を全部動員する。

すぐに食べたいのだが、そうそうすぐには
冷えるものではない。

もう少し、我慢。
本来なら、キンキンに冷やしたい。

その間に、他のおかずも用意。
冷凍庫にあった、いか下足エンペラを湯通しし、
甘いたれを、かける。

宮内庁御用の大原の白滝も、
冷蔵庫にあったので、甘辛く煮てみる。

こんなところでよかろうか。

冷汁ももういいであろう。


冷汁。

これは、なかなかなものであろう。
煮干でも、細かくしてよく煮出せば、冷汁らしくなる。

多少時間はかかるが、冷汁、
うまいもの、で、ある。





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