断腸亭料理日記2016

続々々とんかつ放浪記・

浅草寿町・すぎ田

4月10日(日)夜

きっかけはそうではないのだが、
続々々々とんかつ放浪記。
今回は、浅草寿町の[すぎ田]。

元浅草の拙亭に最も近い有名とんかつや、であろう。
ミシュランピブグルマン掲載店。

創業は1977年(昭和52年)。
髭をはやした先代が名物であったが、先年亡くなり、
当代ご主人で二代目。

例の山本益弘氏の東京とんかつ会議でも
殿堂入りを果たしている。

そんな評判もありながら、個人的には上野の[井泉]と並んで
最もよく行くとんかつや。
この日記をさかのぼってみると、私が葛飾の四ツ木から
今の元浅草に引越してきてからのようで、10年以上は経っていると思われる。
先に書いたように、その間に親爺さんが亡くなり、
はからずも代替わりに接している。

ロース2,400円。

上野の[ぽん多本家]が2,700円、先の[井泉本店]がちょっと安くて
特ロースでも1,800円。上野御三家のもう一軒[蓬莱屋]がヒレカツで
2,980円。ちなみに先日の上野[とん八亭]がロース定食で1,700円。
同じく目黒[とんき]がロース定食、1,900円。
(こうしてみると、1,000円台と2,000円台に分かれるようである。)

[すぎ田]は2,000円台の高価格グループ。

先代の親爺さん健在の頃は、とにかくこの親爺さんで
もっていた、といってよかった。
背が高くガタイもよく、声が大きくて、
一緒に店を切り盛りしている女将さん、二代目になった息子さんに
よく雷を落としていたのが思い出される。
女将さんとともに浅草生まれで、いかにも下町の頑固親爺という
キャラクターであった。

親爺さんは亡くなる直前まで店に立たれていたと思うが晩年は
あまり具合がよろしくなさそうなのがカウンターのこちらからも
伺い知ることができた。

亡くなってしばらくは二代目やお店そのものも
やっぱりぽっかりと大きな、大きな穴が開いて、
親爺さんの大きな声が聞こえないのが不思議なくらいで
あった。

二代目はまだ30代であろうか、あるいは40を越えたくらい?。

しかし、一年、二年がすぎて、どこがかわったというのではないが
段々に二代目の店になってきて、通っていた近所のお客としては
一安心。
亡くなったのが11年であったか。今年で5年。
もう立派なご主人といってよいであろう。

この二代目、先代の頑固親爺のようなガタイが大きいわけではなく
穏やかな印象。それで片意地張らず、うまく新たな[すぎ田]を
作ってこられたのかも知れない。

ともあれ。
ここは土日もやっているので、ありがたい。

一応予約、17時。
TELでは、17時ちょいすぎだとありがたいです、
とのことで、17時に家を出て歩いて向かう。

国際通り沿い、東側。
春日通りの交差点から北へ数軒目。

入ると、既に家族連れのお客さんが既に奥の座敷に。

カウンターの真ん中に掛ける。

ビールをもらって、いつものように、
ロースと海老フライ一本、それからロースソテー。

温度の違う揚げ鍋が二つ。
その後ろに二代目。
以前はその後ろの壁にテレビがあって、親爺さんも
視ていた。

今はTVはなくて静かな店内。
(ジャズが低くかかっていたか。)
のんびりした時間が流れる。

ここのカツはぶ厚く、これにほどよく熱を通すためであろう、
揚げ時間はすこしかかる。
ビールを呑みながらゆっくり待つ。

きた、ロース。

 

海老フライ。


ロースソテー。

 

ロースかつ。
とんかつ会議風に評をすると。

かつ自体、かなりの厚め。
揚げ色は濃くもなく薄くもなくきれいな狐色。
しっかりした衣。むろんはがれるようなこともない。
切り方は細め。
切り口は薄いピンク。
脂は溶けるよう。

キャベツはかなりの細め。

私などには申し分なく、極上にうまいとんかつ、で、ある。

ただ、食べている間に、やっぱりキャベツに接している部分の
衣がふやけてくる。
金網にのせているところがあるが、あれを使っても
よいのかもしれない。

ロースソテーはいつも内儀(かみ)さんが頼むもの。
ウイスキーでフランベをしてある。

ご飯と豚汁が出る。


大根が以前はもっと薄く切ってあった記憶があるのだが、
ちょっと厚め。

濃厚でうまい。
とんかつが負ける濃さという評もあるようだが、
呑みながらとんかつを食べ、終わってご飯という場合、
こちらの方がベターであると私には思われる。

ご馳走様でした。

寿のこの場所は浅草の盛り場からは離れており、
決してよい場所ではない。
益博兄貴も書かれているが、二代目が押しも押されぬ、
浅草の名物とんかつやにしていってほしい。
近所のお客の一人として心から願う。


 

台東区寿 3-8-3
03-3844-5529


 



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